04.空を抱きしめる


足音高くバッツとジタンが駆けてくる。
「次はのばらに行こうぜ!」
「いや待てクラウドも捨てがたい!!」
バッツと僕は同い年のはずなのに、どうしてこうも違うんだろうね。
どうしても僕の方が落ち着いているという印象をもたれてしまう。それを損だとは思わないけれど、一緒にああして走りまわってみたいとも思う。
「お!セっシルー!!」
「よーぅ」
走りながら大きく振られる手に、ひらひらと振りかえした。
「やりすぎないようにねー」
「まかせろ☆」
なんて信用ない言葉。僕も言ってみただけだけど。
「スコールより手加減はしてやるさ」

さて何をしたのやら。ちらりと振り返ったジタンの視線の先へと足を進めた。




背の低い草が生えそろう地面に、彼はいた。
まるで胎児のように小さく丸まり、ここまで届くほど大きく深呼吸を繰り返す。
「はーっ」
一際大きな呼吸とともに大の字になった。
珍しい、無防備な姿がかわいい。
まるで年相応で、同い年のティーダがよくやる姿に似ている。
「スコール」
「………セシルか」
寝転がったまま、顎を上げて僕を見る。前髪がぱさりと音を立てて額の傷がよく見えた。
確認だけすると、すぐに視線は空へと向けられてしまう。
その無防備さがうれしいと、君はわかってくれるだろうか。
でもこの距離が遠く思う。
「ねぇスコール。僕とバッツは何が違うと思う?」
「……は?」
距離を詰めてまずは隣に腰を下ろす。
スコールにとっては唐突な質問をぶつけてみて、眉をひそめる様子がよくわかるように前髪を梳いてみる。
手を顔に伸ばしても引かれないというのは、うれしいものだね。
「やっぱり鎧かな?」
「アンタが何を言いたいのかわからない」
「僕もあまりわからないんだけどね。バッツやジタンと仲が良いでしょう?うらやましいなって」
「………」
「そっぽむかないの」
「アンタは何がしたいんだ」
何がしたい。そうだなぁ。とりあえず鎧を外して、バッツがよくやっているみたいに抱きしめてみようか。
そうすれば空を掴むようなこのあいまいな感情が理解できるかもしれないね。










inserted by FC2 system