09.指輪と首輪


首輪をつけて鎖に繋ぐ夢を見た。

ぼんやりとした視界の隅で、先ほどまで閉じ込めていた相手のしっぽがゆらりと揺れた。
幸せな夢の続きのようで自然と頬が緩む。
頭を右に倒せば、下敷きにした背骨があたって少し痛かった。
起きたのかーというのんびりした声が聞こえたけど、返事はしない。今とても気分がいいから。
ゆらり、ゆら
独特のリズムで左右に触れるしっぽを捕まえたくて手を伸ばす。
一度目は空振りして空を掴んだだけ。二度目は掴んだはずなのにするりと逃げられた。
肩越しに見ていたらしく、ジタンは楽しそうにくすくすと笑う。
黙れ、と伝えるために、枕にした背にぐりぐりと頭をこすり付ける。
そうすれば了解とばかりに三度目に挑戦する前の、一休み中の俺の手にくるり、としっぽが巻きついた。
ふさふさのしっぽは柔らかいのに芯が通っていて、何とも不思議な感覚だ。
ずっと触れていたくて、固く掴んだつもりなのに気づいたら手の中から消えていた。
でも今度はすぐに戻ってきて、広げた俺の手をするりするりと絡めたりなぞったりして遊ぶ。
そして最後にはきゅ、と左手薬指に巻きついて、逃げてった。










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