10.あいのかたち


どうしてこうなったのか。
ボールを投げるために鍛えられた肩ごしにテントの天井を睨みるつけるも、現状は何も変わりはしない。
頭上で束ねられた両手は左手で押さえつけられた。腹の上に乗っかられている上に器用に折り畳んだ足で太ももを抑えられているせいでまるで反撃できない。
完璧な拘束に反して、右手はどこまでも優しく俺の頬を撫でている。
熱の籠った視線が痛い。
ティーダの望んでいることが、わからないわけじゃないんだ。
「嫌だというつもりはないが、せめてここのイミテーションを一掃してからにしないか」
少しでもいいから先延ばしにしたくて、でも拒絶ではないと伝えるにはそんな子どもだましのような言葉しかでなかった。
「やだ」
「………ガキ」
「ガキでいいよ。オレは、何かが終わったらとか、どこまで行ったらとか、誰かに勝ったらとか、そういうのイヤだ。今がいい。今すぐがいい」
性急すぎる、と口にしたはずなのに、必死なティーダの目に負けた。










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