18.もっと早く出会っていたら


おいしそうだなぁと思ってたけど、戦うことしか覚えてなかったスコールは元いた世界の3割増し素直でかわいかった。
リノアちゃんと出会ってからのスコールしか知らなかったから、彼女と会う前はこんなカンジだったのかなって思うとにやける頬を隠せない。
ツンツンしてるしそっけないけど、何とも思ってない訳じゃない。仲間の心配はちゃんとするし、人づきあいが上手くないのは傷つけたり傷つけられたりするのが怖いだけだ。
かわいいなぁ。
思わずぐりぐり頭を撫でてみたり、いいお兄さんぶってお友達ができるように振るまったりした。他の子たちには抱かないシタゴコロ込みで。
動物を手なずけるのにちょっと似ている。急いではいけないし、タイミングを逃してもいけない。そうやって少しずつ、髪を梳いてやったり撫でてやったり、疲れてるときに褒めてあげたりして距離を狭めていった。

誰もいないところで二人きり。なんとなく、今だなって思った。
額にキスして、首筋を撫でて、頬にもキス。照れて染まった目元がかわいかったから、そこにも。
何か言いたげに薄く開いた口唇が誘ってるようにしか思えなくて、これってファーストキスかなって思いながらキスをした。
鼻から抜けた声がいつもより少しだけ高くて色っぽい。
だから舌入れたのは許して。だってお前かわいすぎるんだもん。
「んっ……ふぅ………っ」
手は抵抗のためじゃなくてすがるために胸元に置かれた。
ちょっと苦しそうだったから、名残惜しいけどごちそうさまの意味を込めてわざと音の立つキスをした。
ぎゅって抱きしめて、背中を撫でてやる。息が整うのを待って、ゆっくりと背の低い緑が生える地面に腰をおろした。
腕の中にいるスコールは小さくなっていて、俯く顔を上げさせたくて額にキスを繰り返す。
躊躇いがちにあげられる顔。潤んだ目で見られるとぞくぞくする。
「………なんで」
胸元に置かれた手がゆっくりと腕に添えられて手首へと滑っていく。目を合わせたまま、グローブが脱がされる。
「アンタ、結婚、してるだろ」
グローブに包まれた指が左手薬指を撫でる。少し硬い感触に、先にスコールのグローブ脱がしておけばよかったかななんて思った。
自由な右手で頭を撫でて、耳をくすぐる。
小さくむずがる姿が幼くて庇護欲をそそるけど、同じくらいいじめたい気持ちもある。
スコールが何考えてるのかわからないけど、もっと早く出会ってたらとか考えてくれてたら楽しいな。
だってお前、オレが指輪してなかったらいないんだもん。
それなのに指輪に焼きもちやくなんてかわいいね。
愛おしさが溢れてもう一回、口唇を塞いだ










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