何回でも君を試す。
心理試験
はじめは、そう、差し伸べられた手を拒絶した。
ルルーシュを庇って撃たれた後、待っていたのはナイトメアフレームと第3皇子殺しの罪。
死に損ねたのはこれで何度目?
可哀想なのは、僕の執着から解放されないルルーシュ。
それなのに助けに来てくれたのはルルーシュ。がさつになったね。もっと緻密な計画を立てると思ったのに。
本当はどんな手段をとっても、ルルーシュが助けにくるんじゃないかって思ってたよ。
でも、否定的なふりをする。とった手段を。ゼロ自身を。
そうしてそのまま、私の元へ、と伸ばされた手に背を向けた。
もっともっと、僕を求めて。
もっともっと、傷つけたい。だって一生残る傷にはまだ足りない。
次に言ったのは、「他人でいよう」。
楽しい楽しい夕食会。
きっとルルーシュは明日もまた僕と話しが出来ると思っている。
僕が「名誉ブリタニア人」として転入することなんて少しもその優秀な頭には入っていないまま。僕がどれだけルルーシュを望んでいるか相変わらず気づかないまま。
本当に可愛い。
こんなに無防備でよくこれまで無事だったなと感嘆してしまう。
最も、何かした奴がいたとしたら、それこそ輪廻転生の輪の中にも入れないように、消してやるけれど。
大切な僕のルルーシュ。
まだ僕の手を取ってくれる?
「他人でいよう」
そう言い放った後の、君の顔といったら。
僕の空洞と嗜虐心を満たすには十分なほど。
ことあるごとにゼロを否定する。
ルルーシュとゼロの関係を知っていて。
哀しいと語る顔を隠し通せると思っているのは本人ばかり。
少しずつ少しずつ、傷を増やしていく。
大丈夫。まだルルーシュは傷ついている。
ルルーシュが捲るのはゼロの記事。
そんなものよりこっちを向いて、話しがしたい。
どんな他愛のないことでも小難しい専門用語が並ぶ話しでも何でもいいから。
同じ空間を共有できるだけじゃ、もう足りないんだ。
二人の空間を奪うのは、オンナノコ。
気を利かせたふりをして、出て行く前に一言。
「軍に戻らなきゃ」
ピクリと動く肩を見逃すわけなんてない。
紙面に落とされた視線はもう文字を追ってなんかいない。
さぁ、どうする?
扉を閉めて立てるのは、聞き耳。
「アイツ、軍に戻るっていったよな」
零れる嗤いを抑えきれない。
これだけ傷つけても、まだルルーシュは僕を大切に思っていてくれるんだね。
でもごめんね。
大切だから傷つけたくて、失いたくないから試したくて仕方がないんだ。
愛してるよ。
だから一生残るように、何回でも君を傷つける。