※童話調です




おほしさま おほしさま



ナナリーは短冊に「お兄様が笑顔でいられますように」と書きました。たった一人の家族のルルーシュが幸せなら、ナナリーも幸せです。
スザクは「強くなる」と書きました。お願い事ではありません。決意表明になってしまいましたが、良いのです。藤堂先生を倒すんだ!とルルーシュに言います。「背が伸びますように」と書こうかと思いましたが、止めました。かっこ悪いと思ったのです。
ルルーシュはこっそり「ナナリーの目が見えて歩けるようになりますように」と書きました。願いをこめて書きました。自分では出来ないからです。ルルーシュは願い事が叶うなんて信じていませんでしたが、それでも叶って欲しいと思って書きました。
ちょっと哀しそうに笹の葉に結び付けます。
スザクはそれを見て、でもルルーシュにもナナリーにも何も言えません。
竹を立てて、みんなが寝ちゃった頃にこっそりお布団抜け出して笹の葉を見上げます。
山の中なのでお星様ばっちりです。天の川も綺麗に見えます。
ルルーシュの短冊が揺れてます。よしっとスザクは余った短冊にえいやっと願い事をもう一つ書くのです。
てっぺんに飾ったら願い事が叶う気がします。
でも藤堂さんが取ってきた竹なので、てっぺんにスザクは手が届きません。ジャンプしてみますが無理です。けれどよじのぼったら折れてしまいます。それはいけません。
うーんうーんと一生懸命考えます。
そうだ!竹馬!!
走って竹馬を取りに行きます。一番長い竹馬を持ってきました。けれどまだ届きません。足を置くところが地面から15p程度しか離れていないのですから、仕方ありません。
スザクはまた考えます。足のところをもっと高くしようと思いつきました。
手作りの竹馬なので、足置きの高さを調節することは簡単でした。
手を持つところがギリギリ残るくらいのところまで足置きの高さを変えます。けれど今度は竹馬に乗れなくなってしまいました。
木に登って、それから竹馬に乗ろう!
いつもなら眠ってしまう時間でしたが、スザクは頑張ります。
木登りは得意なので、すぐに竹馬に足をかけました。
しかし、バランスが取れなくてすぐにばたんっと地面に落ちてしまいました。
けれどスザクは強くなると決めたので泣きません。膝小僧をすりむいて顔に土もついて道着も汚れてしまいましたが、何度も何度も竹馬に乗ります。血が出てしまいましたが、そんなこと気にしません。
転びながらも何度も乗ったおかげで、今度こそ竹のところまでたどり着くことができました。
竹を折らないように、竹馬かた落ちないように、慎重に竹を支えにしながら、懐に大切にしまった短冊を取り出します。
お願いします、彦星様織姫様。
ようやく、短冊をてっぺんに結ぶことができました。
やった。
にっこりと満面の笑みを浮かべたところで、気が緩んだせいか、ズルっと足が滑ってしまいました。
てっぺんに飾った短冊を見ながら、スザクは満足そうに笑いながら落ちていきます。
けれどカランカランっという竹馬の倒れた音だけで、スザクは全然痛い思いをしませんでした。
スザクは藤堂さんに抱えられていました。何度もスザクが竹馬で落ちた音を聞いて起きてきた藤堂さんは、今までずっと隠れて様子を見ていたのです。
スザクが一人でやり遂げてから、最後に助けてくれたのです。
俺、一人でできた。
スザクが自慢気に言います。良く頑張ったと藤堂さんも褒めてくれます。
そのままではルルーシュとナナリーが心配する。
藤堂さんはお風呂に入るように言い、着替えも用意しておいてくれました。
おやすみなさい。
達成感と疲労で、スザクはすぐに眠りの世界へと旅立ちました。

翌朝、ルルーシュは一つ増えた短冊には気づきませんでした。でもスザクは満足です。秘密なのです。願い事は、誰かに言わないものだとスザクは思っていました。だからこっそり夜中に結んだのです。

でも、ルルーシュは見てしまいました。
笹の葉と短冊を燃やすときに、見つけてしまったのです。
見たことのない、スザクの字で書かれた短冊。

「るるーしゅのおねがいがかないますように くるるぎすざく」

これは、ルルーシュだけの秘密です。










inserted by FC2 system