※ 高河ゆん『LOVELESS』のパロディ
ユフィ視点で基本的にスザクがユフィに惚気ていますが、偶にユフィがスザクに惚気ます。
スザ→←ルル:素直な美大生と素直になれない小学生。スザクが変態気味。
ネリユフィネリ:本気の恋と姉妹愛の一方通行両思い。お姉様が振り回されてます。







一方通行時々…



こんにちは、ユフィです。現役美大生をやっています。現在小学生をストーキング中です。

嘘です。小学生をストーキングする変態は、隣で煙草をふかしている枢木スザクです。
大好きな大好きなルルーシュ・ランペルージくんが、お友達と遊びに行くので拗ねてます。
ついていこうとしたら断られたそうです。当然ですね。保護者付きだなんて、小学生の男の子からしたら恥ずかしく感じることじゃないでしょうか。
そう。おわかりでしょうか?小学生の男の子を大学生の男がストーキングしてるんです。訴えられたら負けそうですね。

なんて言っていますが、私も一緒にルルーシュ・ランペルージをストーキングしてます。

ルルーシュを見るのはこれがはじめてです。もちろん話しなら嫌というほど聞いています。
実物はと言うと、とっても可愛いです。ぴこぴこ動く耳とか、長い尻尾とか。全体的に真っ黒なのに、目だけが紫で追いかけたくなりますね。

でも、小学生です。一緒にいるのは、お友達だという背の高い女の子と元気溌剌といった感じの男の子。3人でアトラクションを回る姿は、微笑ましいという以外の何物でもありません。
それなのに。
隣の男は何をどう心配してるのか、さっきから紫煙を吐き出してばかり。
一応風下に立つのはいいことです。携帯灰皿を使用するのもいいことです。どうせなら禁煙すればいいと思うのですが、それは出来ないようですね。でも、ルルーシュが言ったら禁煙しちゃうかもしれません。
少し前まででは、とても考えられなかったことですが。

ルルーシュの話しが出るまでの枢木スザクはいつもつまらなそうで、生きているような死んでいるような空気の人でした。
描く絵は人をひきつけるけれど、それはどこか現実味がなくて危うい空気が絵に投影されていたからじゃないかと思います。
そんな空気が気になって、気づけば友達といういいような悪いような曖昧なポジションにいます。
男女間に友情は成り立たないと言われましたが、この男はホモな上にショタコンなので大丈夫です。
…大丈夫なのでしょうか。
ともかく、そんな彼の変化は喜ぶべきものだったので、正直に言うと彼を変えたルルーシュに興味がありました。
だからこうして、ストーキングにも付き合ってます。

ほら、傍から見たら、倦怠期のカップルみたいでしょう?
一人で遊園地にいるよりはずっと自然。

さてさて、先程からルルーシュはというと、楽しんでいるお友達二人が先を歩いている時に、頻繁にケータイを確認しています。
隣を見上げれば、にやりと歪められた口角。

「何、笑ってるんですか?」
気持ち悪いですよ。
「ひどいなぁ。だって仕方ないよ。ルルーシュが、ケータイ気にしてくれてるんだもん」
確かに、先程から気にしていますね。
「どうしてですか?」
「僕がメール送らないから」
勝ち誇った顔。遊園地に一緒に行けなかったくせに。
「もっと気にすればいいよ。僕をいつもよりずっと気にかけていればいい」
「お友達と一緒にいるのに?」

「オトモダチと一緒だから、だよ。側にいなくて連絡もしてこない僕のことを考えていればいいんだ」

「相手は小学生なの、わかってます?そういうの、鬼畜、っていうんですよ」
この間教わった単語を言えば、外道は苦笑した。
「誰に教わったの?そんな言葉。お姉さんが聞いたら卒倒するよ」
「大丈夫です。お姉様の前では、大人気ない、って言ってあげます」
かわいそうに、お耳が垂れちゃってますよ。
「うん。そろそろ許してあげようかな」
煙草をフィルターに押し付けて、オトナはコドモの元へとむかう。
「ちゃんと紹介、して下さいね」

傍から見れば恋人同士。
ルルーシュはどんな声でどんな反応を返してくれるんでしょう。

「ルルーシュ」
嬉しそうに名前を呼ぶ声。ちょっと前までなら考えられないこと。
「スザク!?」
お耳と尻尾がピーンってなりましたね。
名前を呼ばれて嬉しそう。お耳が取れててよかったですね、スザク。もし残っていたらルルーシュみたいにきっとピーンってなってましたよ。
私のお耳もきっとピンと立ってます。
だってとっても楽しいんですもの。
上がるのは、なんでお前がここにいるんだよ、と照れたような怒ったような、少し低めの声。
「ルルーシュのいるところならどこにでも」
さりげなくカミングアウトしないで変態。
スザクさんだぁと可愛らしい声をあげるのは女の子。心が洗われますね。
「こんにちは、スザクさん」
「こんにちは、シャーリーちゃん」
「そっちのお姉さんは、スザクさんのコイビトですか?」
お願いだからやめて下さい。
私達の間に関係は友情以外の何物でもありませんから。

でも、ルルーシュはびくって肩を震わせましたね。

ちらりと翡翠をうかがえば、心底嬉しそうな悪い顔。
私に話しを振ったのは、もしかしなくてもこのためでしょうか。
だとしたら、小学生相手に高等テクを使いすぎです。
「はじめまして、シャーリーちゃんにルルーシュくん。それから…」
「あ、俺はリヴァルです!」
「リヴァルくん。私はスザクと同じ大学に通ってるユフィです。よろしくお願いしますね。もちろん、ただの友達ですよ」
もちろん、の部分を強調して。
それでもまだルルーシュは疑り深い眼差しでスザクを見上げてます。
それって、逆効果じゃないんでしょうか。
教えてあげたいのですが、多分言ってもわかってもらえないと思うのでやめておきます。

「ルルーシュ。一緒してもいいかな」
「べつに、いい」
「ありがとう」
極上の笑顔で断れないお願いとお礼。
大人2人に子ども3人の妙なグループの出来上がり。
ルルーシュが首から提げているデジカメで、まずは記念撮影。
「結局、お前との写真ばっかりになる」

ぼそりと漏らされた呟き。
でもなんだか嬉しそう。



もしかしなくても、これはスザクの一方通行ばかりではないのかも?










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