電気、消すよ？
ふふっ久しぶりだね、こうやって一緒に寝るの。
ね、ぎゅってしていい？
ダメ？何で？いいじゃない。だって久しぶりなんだよ。
またこうして一緒のベッドで眠れるなんて思わなかった。
だからね、今とってもうれしいんだ。

あ、何で顔隠すの？
ね〜一人で寝ないで。一緒にいるんだからさ。
わかった。顔は見ないから。だからね、そっち向いてていいから。
後ろからでいいから、ぎゅってさせて？

ありがとう。

髪、まだちょっと濡れてるね。
でもシャンプーの香りがしていいにお……痛っ。
ごめんごめん。言わないから、機嫌直して？
あーもうっ逃げないでよ。
悪かったから。

あ、じゃあお詫びに、いい夢が見れるように羊を数えてあげるよ！
だからね、どっか行かないで。

一緒に眠ろう。同じ夢を見よう。

ひつじが１ぴき。ひつじが２ひき。ひつじが３びき。ひつじが４ひき。ひつじが５ひき。ひつじが６ぴき。ひつじが７ひき。


ね、７なんてあっという間だよ？
ひつじと年じゃ違うって？あのね、でも、考えたんだ。
僕にとってはあの日からいろんなことがあって、僕なりに一生懸命すごしてきたんだ。そうしたらね、あっという間だったんだよ。忙しくて、ただそれだけで。嫌なことは多分いっぱいあったんだけど、良いことはあんまりなかったんだと思う。だからね、あっという間に終わらせたかったんだ。
ごめんね。ずっと二人ぼっちにして。
今はね、僕はとっても良いことが毎日あって、一日いちにちがとっても大切に思えるんだ。

ん？こっち向いてくれるの。うれしいな。
…何？僕がいなかったから、いないって思って過ごしてたらとっても長かっ……んぐっ。
痛い。痛いよ。手、はなして。ね？どうせだったら口押さえるんじゃなくて、手握ってほしいな。
えへへ。仕方ないでしょ？だってうれしいんだから。
あー馬鹿って言わないでよ。
わかった、ちゃんと続き、数えるから、ね？


ひつじが８ぴき。ひつじが９ひき。ひつじが１０ぴき。ひつじが１１ぴき。ひつじが１２ひき。ひつじが１３ひき。ひつじが１４ひき。ひつじが１５ひき。ひつじが１６ぴき。ひつじが１７ひき。ひつじが１８ぴき。ひつじが１９ひき。ひつじが２０ぴき。ひつじが２１ぴき。ひつじが２２ひき。ひつじが２３ひき。ひつじが２４ひき。ひつじが２５ひき。ひつじが２６ぴき。ひつじが２７ひき。ひつじが２８ぴき。ひつじが２９ひき。ひつじが３０ぴき。


……え？いつまで頭を撫でてるつもりだ…って？
嫌だった？だって髪の毛サラサラだから、気持ちよくって。
左腕？君に腕枕してるけど。
わかってる、って…だったら聞かなくても…痛っ。
ほんと、がさつになったね。昔は僕に殴られたり近所の子にいじめられてもやり返せなかったのに。
あの頃は、君の事こんな風に腕の中に囲って、痛いことから全部守ってあげられるって思ってたんだ。
ほんとだよ？本気で思ってたし、今だって、前よりは難しいかもしれないけれど、僕は守れるって思ってる。
あ、信じてないでしょ？本気だよ、僕は。
例えば今だって、君が良い夢を見れるように羊を数えてるじゃない。
ね。


ひつじが３１ぴき。ひつじが３２ひき。ひつじが３３ひき。ひつじが３４ひき。ひつじが３５ひき。ひつじが３６ぴき。ひつじが３７ひき。ひつじが３８ぴき。ひつじが３９ひき。ひつじが４０ぴき。ひつじが４１ぴき。ひつじが４２ひき。ひつじが４３ひき。ひつじが４４ひき。ひつじが４５ひき。ひつじが４６ぴき。ひつじが４７ひき。


…どうしたの？そんな、シャツひっぱったりなんかして。
腕枕？平気だよ、痺れないって。
嘘じゃないよ。僕がしたいんだから、気にしないで？
……ダメ？わかった。
じゃあ代わりに、手を繋いでもいい？
僕の左手と君の左手で。
心臓に一番近いところ。
だって君の頭は僕の心臓の近くにあるけど、僕は君の心臓には遠いから。
あ、知ってる？左手の薬指に指輪を嵌めるのはね、心臓に近いからなんだって。
普段使わない指だからじゃないのか……って、夢がなさすぎるよ。
人から聞いた話だから、本当かどうかは知らないけれど、そうやって考えたら素敵じゃないか。
ね、ルル。耳、まっか。
痛っ。脛は痛いって。蹴らないでよ。も〜そんなに暴れたら寝れないよ？


ひつじが４８ぴき。


目、閉じて？


ひつじが４９ひき。


ルルが眠るまで何匹でも数えるから。
同じ夢を見ようね。手つないでるからきっと見れるよ。
ルルがいて僕がいて、ナナリーも笑ってるよ。生徒会のみんなもいるよ。
一番しあわせな夢を見よう。


ひつじが………






「…お前が先に寝てどうするんだ馬鹿スザク。次のひつじは５０だ。ちゃんと数えろ。馬鹿スザク」



「でも、一緒にいるから、ゆるしてやる」



茶色いひつじと黒いひつじが一緒に飛んで、そこでおしまい
おやすみなさいのキスをして、夢の中であいましょう