日曜日がきたら


例えば、お子様な味覚を持っている事。
普段晒さない肌はもう一つの血を引き継いで透き通る白さを誇っている事。
綺麗な物が好きだという事。
負けず嫌いな事。
目が口ほどに物をいう事。
素直じゃないのは他人との親しい接触に慣れていないからだという事。
実は寂しがり屋だという事。
一度懐に入れてしまった者に対して甘くなる事。
自分を綺麗じゃないと思っている事。
でもそれは主観的な問題であって、成長した現在その容貌はわかる者にとってはひどく惹かれるものだという事。
好意になれていないという事。
最近少しずつではあるけれど、周りに心を許すようになった事。

…俺が貴方を好きだという事に全く気づいていない事。

いつから気になり始めていつからそれが恋に変わったかなんてもう覚えてはいないけれど、気づけば俺は貴方を目で追って側にいれば構って怪我をしたら治癒するようになっていた。
だからそう、今日も窓は開けたまま。
気まぐれな黒猫がいつ入ってきてもいいように、雨が降っても月が傾いても鍵はかけない。常備してあるものは、雨に血に濡れていてもすぐに拭ける様に大きなタオルが1枚と靴を入れられる箱。
あぁ、今度は彼専用のカップを買ってみようかな。使い捨ての歯ブラシや割り箸ではなく、彼専用のものを買い揃えるのもいいかもしれない。日曜になったら買いにいこう。お茶碗にお箸、カップ、歯ブラシにそれからそらから…。

俺の思考を遮るのはいつも貴方。
感じる妖気に口唇が笑みを結ぶ。
にやけてしまわぬよう得意のポーカーフェイス。

「久しぶりですね、飛影」
おかえりなさいと言ってみたらその大きな瞳はどんな形に変わるだろう?
日曜日に買い物をして、それを使える日が来たら言ってみよう。
俺はイイオトナだからゆっくり進めていくつもりだけど、スリルは俺の好むところだから。
少しの賭けを許して下さいね。

いずれにせよ、どれほど時を費やそうと俺の獲物は貴方だけだから。いつかきっと捕まえてみせる。
それまで楽しみましょう?
捕らえる過程は甘美なゲーム。
可哀想だけど逃がしてあげない。

欲しいのは、貴方。










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