35.4℃の熱 1


僕にとっては筋が通っているはずのことも、他の人からしてみればただの言い訳でしかないんだ。
命令に逆らうことなんてできない僕は軍人なんだからとか僕は内側から変えて行きたいんだとかそんなことを言ってみせてもは結局言い訳としか受け取られないんだ。

そうして僕はようやく気づく。
言い訳だと言われる訳を。

昨日までは確かに握っていた手が、握っていたと思い込んでいた手が、他の手を選んだことを。

あの白く細い指が血の気を失って蒼くなるほどの絶望を与えたのは、僕?それなのにその手を温めたいのにどうすればいいのかわからない。
僕がどれだけ望んでも、君はもう、この手を取ってはくれない。

伸ばされた手は、僕ではない誰かが、掴んだ。





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